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親の介護を考え始めると、
どこかで「施設入居」という言葉が出てくる。
老人ホーム。
介護施設。
高齢者向け住宅。
ショートステイ。
入居相談。
そういう言葉を見ただけで、少し胸が重くなる人もいると思う。
親を施設に入れるなんて、冷たいのではないか。
家で見てあげるべきではないか。
親を見捨てることになるのではないか。
そう考えてしまう。
特に50代になると、親の年齢も上がってくる。
親の足腰が弱くなる。
一人暮らしが不安になる。
通院や薬の管理が難しくなる。
家の中で転ぶのではないかと心配になる。
その一方で、自分にも仕事がある。
家族がある。
老後資金の不安もある。
体力も若い頃とは違う。
その中で、親をどう支えるのか。
施設入居は、親を見捨てることではなく、親と家族が共倒れしないための選択肢の一つだと思う。
「できれば家で暮らしてほしい」は自然な気持ち
親には、できれば住み慣れた家で暮らしてほしい。
そう思うのは自然だ。
長年暮らしてきた家。
近所とのつながり。
自分の部屋。
いつもの台所。
庭や仏壇、家族の思い出。
親にとって実家は、ただの建物ではない。
子どもにとっても同じだ。
親がそこにいるから実家だった。
帰れば親がいる場所だった。
簡単に手放せるものではない。
だから、施設入居という話になると抵抗が出る。
親の生活を変えてしまうのではないか。
親が寂しい思いをするのではないか。
自分が楽をしたいだけではないか。
そういう罪悪感が出てくる。
でも、親を大事に思う気持ちがあるからこそ、
施設入居に悩むのだと思う。
在宅介護が難しくなることはある
食事。
買い物。
通院。
薬の管理。
掃除。
洗濯。
夜間の見守り。
転倒への不安。
認知機能の低下。
介護サービスとの連絡。
兄弟との調整。
これらが少しずつ積み重なる。
最初は何とかなるかもしれない。
でも、仕事をしながら続けるとなると、負担は大きい。
平日に休みを取る。
休日が介護で埋まる。
仕事中に親から電話が来る。
急な体調不良で呼ばれる。
遠方なら移動だけで疲れる。
50代は、まだ現役で働いている人が多い。
自分の体力も無限ではない。
在宅介護を続けられないことは、親への愛情が足りないということではない。
現実として、家族だけでは支えきれない場面がある。
施設は「親を預けて終わり」ではない
施設入居というと、
親をどこかに預けて終わり、というイメージを持つ人もいるかもしれない。
でも実際には、そうではない。
施設に入っても、家族の関わりは続く。
面会に行く。
体調を確認する。
必要なものを届ける。
施設の人と話す。
医療や介護の方針を確認する。
親の気持ちを聞く。
家族としての役割がなくなるわけではない。
むしろ、日常の介護を専門職に支えてもらうことで、
家族は親と向き合う余裕を取り戻せることもある。
介護で疲れ切ってしまうと、
親に優しくする余裕がなくなることがある。
施設を利用することで、
家族が親を「介護する人」としてだけでなく、
「親として会う」時間を持てる場合もある。
親の安全を考えると、施設が必要な場合もある
親が一人暮らしを続けることには、リスクもある。
転倒。
火の不始末。
薬の飲み忘れ。
食事の偏り。
夜間の体調不良。
急な入院。
認知機能の低下。
本人は「大丈夫」と言うかもしれない。
でも、子どもから見ると不安なこともある。
特に、家の中の段差や浴室、階段、トイレが危ない場合、
住み慣れた家が必ずしも安全とは限らない。
親が家にいたいと言っている。
でも、その家で安全に暮らせる状態なのか。
ここは冷静に見る必要がある。
施設入居は、親を家から追い出すことではない。
親が安全に暮らせる場所を考えることでもある。
子ども側が壊れてしまう介護は続かない
親を支えたい気持ちは大事だ。
ただ、子ども側が限界を超えてしまう介護は長く続かない。
仕事に支障が出る。
睡眠が削られる。
家族関係が悪くなる。
兄弟間で不満が出る。
自分の健康を壊す。
老後資金を大きく削ってしまう。
こうなると、親を支えるどころではなくなる。
親を大事にすることと、
自分の生活を守ることは対立するものではない。
両方を守るために、外部の力を借りる。
その一つが施設入居だと思う。
家族が共倒れしない形を考えることも、親を支えるための大事な判断だ。
施設入居を考える前に確認したいこと
施設入居をすぐ決める必要はない。
ただ、考え始めたら確認しておきたいことはある。
- 親本人はどう暮らしたいのか
- 今の家で安全に暮らせるのか
- 一人暮らしを続ける不安はどこにあるのか
- 在宅介護サービスで対応できるのか
- 家族はどこまで支えられるのか
- 兄弟で負担を分けられるのか
- 費用は親のお金でどこまで出せるのか
- 施設入居になった場合、実家はどうするのか
こうしたことを一つずつ確認する。
施設を探す前に、
親の状態、家族の負担、お金、実家のことを整理しておく。
それだけでも、判断はしやすくなる。
早めに調べることと、すぐ入居させることは違う
施設の情報を見ることに、抵抗を感じる人もいる。
まだ早い。
親に悪い。
施設に入れる前提で動いているようで嫌だ。
そう感じるのは自然だ。
でも、早めに調べることと、すぐ入居させることは違う。
どんな施設があるのか。
費用はどれくらいかかるのか。
入居条件はどう違うのか。
自宅近くに選択肢はあるのか。
親の状態に合う場所はどんなところか。
これを知っておくだけでも、いざというときの混乱は減る。
介護は、急に判断を迫られることがある。
入院後に自宅へ戻るのが難しい。
一人暮らしが急に危なくなる。
家族の介護負担が限界になる。
そのときに何も知らない状態から探すのは、かなり大変だ。
だから、まだ決めなくていい段階で、
選択肢だけ知っておくことには意味がある。
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施設入居は、親を見捨てることではない
施設入居は、親を見捨てることなのか。
そう悩む人は多いと思う。
でも私は、そうは思わない。
親の安全を考える。
家族の負担を考える。
仕事や生活を守る。
兄弟で無理なく分担する。
親が安心して暮らせる場所を探す。
それは、親を見捨てることではない。
むしろ、現実を見たうえで親を支える方法を考えることだ。
もちろん、簡単に決められる話ではない。
親の気持ちもある。
お金の問題もある。
実家の問題もある。
兄弟の意見もある。
だからこそ、早めに少しずつ考えておく。
50代になった今、
親の施設入居を「冷たい選択」と決めつけるのではなく、
家族が共倒れしないための選択肢として見ておきたい。


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